旧約聖書を読み解く ー 講談社学術文庫

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「旧約聖書」とはどんな書物なのか?
「旧約聖書」は、古代イスラエル(ユダヤ)の民の千年以上にわたる歴史を背景として成立した、さまざまな文書を39巻にまとめたものです。その編纂は長期に及び、増補・改訂を含む複雑な過程を経てできあがったと言われています。
ユダヤ教ではイエスをキリスト(メシア)と認めないため、「新約聖書」は存在しません。「旧約聖書」のみが聖典とされ、「タナハ(TaNaKh)」と呼ばれます。一方キリスト教では、イエスによる「新しい契約」を記した「新約聖書」に対し、それ以前の書を「旧約聖書」と位置づけます。本書は、こうした「新約」との関係を視野に入れながら、「旧約聖書」を読み解いていく本です。
古代イスラエルの民たちは、エジプトを脱出後、遊牧的生活から定住へと移行し、やがて王国を築きます。しかし、その後も南北分裂など不安定な時代が続き、王国の崩壊以降はエジプト、ペリシテ、アッシリア、ペルシアといった大国の支配下に置かれました。
このような歴史的状況のもとで成立した「旧約聖書」は、各時代を生きた人々が、伝えられてきた過去の出来事の意味を問い直し、新たな解釈を加えてきた「伝承の歴史」と言えます。そこに収められた物語や掟は、歴史的経験の中に意味を見いだそうとする営みの結晶です。
同様に、「旧約聖書」において、歴史は「神が語りかける場」「神の意志が示される場」として描かれます。創世記の原初の物語に始まり、アブラハムの旅立ち、出エジプト、王制の成立と崩壊、バビロン捕囚、そしてユダヤ教の成立――。こうした流れは、すべての被造物を救おうとする神の救済史として、一貫した意味を帯びています。
神との契約とは? 安息日の規定とは? 「約束の地」とは? 旧い契約から新しい契約への移行とは? 苦難の歴史を生きた民たちが出来事の描写に込めた意味を、原典ヘブライ語の語義や各文書の成立年代、文章構成に目を配りながら丁寧に繙いていきます。

*本書の原本は、2006年に日本放送出版協会から刊行されました。

[本書の内容]
はじめに
第一章 旅立つアブラム
第二章 アブラハムと契約を結ぶ神
第三章 七日目には仕事をやめねばならない
第四章 飲み水がないと不平を言う民
第五章 ヨルダン川の東岸で――申命記という本
第六章 約束の地へと入る民
第七章 「我々にはどうしても王が必要なのです」
第八章 「お前か、イスラエルを煩わす者よ」
第九章 動乱の時代に静けさを説いた預言者イザヤ
第十章 捕囚という現実に預言者が見たもの
第十一章 平和といやしを与えるための苦しみ
第十二章 ユダヤ教の成立
関連年表
あとがき
解 説(田島 卓)

出エジプト、定住化、王制の始まりと終焉、他国による支配、ユダヤ教の成立…古代イスラエル民族の壮大な歴史が語られる旧約聖書。それは先人の体験を伝える伝承集であるとともに神による救済史でもあった。神との契約とは?「約束の地」とは?苦難の民族が出来事の描写に込めた意味を、ヘブライ語にまで遡り、解き明かす。

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